成長、発展を常に目指すのが当然という社会観に疑問を呈した一作。前作の正欲と同じく頭を殴られるかのような強烈な読書体験でした。個人的には、人生で初めて作家さんのサイン会に参加でき、お互いに健康でいましょうねと誓い合う?ことができたのもすごく心の支えにな ...
中国で生まれた漢字は日本語と邂逅し、日本文化に大きな影響を及ぼしました。日本語史の第一人者である沖森卓也さん(立教大学名誉教授)による『日本漢字全史』(ちくま新書)は古代の漢字受容から、近現代の漢字簡素化まで、日本における漢字の歴史 ...
小説家志望のライター・清繭子さんが、文芸作品の公募新人賞受賞者に歯噛みしながら突撃取材する連載。『サンショウウオの四十九日』(新潮社)で芥川賞を受賞した朝比奈秋さんに、医師を辞めて作家になるまでを聞いたインタビューが、好書好日で今年いちばん読まれた記 ...
本書が愛されるのは、日本社会には「ごはんが待ち遠しい」と思いながら仕事や勉強をする人が少なくなっているからだろう。お腹(なか)が空(す)かない。食事時間が少ない。ダイエットが義務。食事も仕事の一部。そんな社会が深く病んでいることを、 ...
この春、経済産業省が「書店振興プロジェクトチーム」を発足、「街の書店」を支援すると発表した。10月に公表された課題整理のための資料には、後継者不足についての項目に「無人書店は人件費の高騰や後継者不足といった書店経営の課題を解決する持続可能なモデル」と ...
年末の風物詩、ミステリー小説のランキングが出そろった。主なランキング(「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」「ミステリが読みたい!」)の1位は青崎有吾「地雷グリコ」(KADOKAWA) ...
伊与原新さんの小説『宙わたる教室』(文藝春秋)は、東京・新宿にある都立高校の定時制を舞台とした実話の物語。さまざまな事情を抱えた生徒たちが、理科教師・藤竹先生を顧問に科学部を創設し、学会で発表することを目標に「火星のクレーター」を再現する実験を始めま ...
①JR冥界ドキュメント 国鉄解体の現場・田町電車区運転士の一日(村山良三著、梨の木舎・1980円) ②統治される大学 知の囲い込みと民主主義の解体(駒込武著、地平社・2200円) ③バトラー入門(藤高和輝著、ちくま新書・1034円) ...
周りの人に、五百四十ドルでした、と報告すると、まあ、それくらいなら、と口をそろえる。何十万もかかったらどうしようかと想像したので、高額にもかかわらずほっとしてしまった。アメリカの一般的な歯科なら差し歯になって二千ドルか三千ドルになるかも、とも言われた ...
今月の「鴻巣友季子の文学潮流」は英語圏で起きている日本語文学ブームを展望します。村田沙耶香さんの『消滅世界』(Vanishing World)、柚木麻子さんの『バター』(BUTTER)などが注目され、若い世代の読者に支持されています。
①ソコレの最終便(野上大樹著、ホーム社・2200円) ②駄目も目である 木山捷平小説集(木山捷平著、岡崎武志編、ちくま文庫・1100円) ③ことばの番人(高橋秀実著、集英社インターナショナル・1980円) ...
二足歩行すらぎこちない──体を思いどおりに使えない世界とはどんなものか。極端な不器用や運動音痴は努力不足と見なされがちだが、それが「発達性協調運動症(DCD)」の症状であれば、日常のすべてが壁となる。『〈逆上がり〉ができない人々── ...